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印南まちづくり基金:地域にともす希望の光 廃校のツリープロジェクト③

 

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印南まちづくり基金は、平成25年に龍谷大学などが連携し印南町内に設置した地域貢献型メガソーラー施設「龍谷ソーラーパーク」の売電で出た収益の一部を、まちづくりに関わる活動や住民が主体となって取り組む団体の課題解決に役立ててもらい、豊かな地域社会の創造と発展を目指し設立した基金です。

今回は、この基金を活用したまちづくりの一例として、地域にともす希望の光 廃校のツリープロジェクトの取り組みを紹介します。 

前々回のお話→ プロジェクト①はこちら
前回のお話→ プロジェクト②はこちら


 

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この日、海南市の株式会社タカショーデジテックの駐車場に集まったのは総勢10人。いつもはラフな格好のメンバーもスーツやシャツで身を包み、いずれも緊張の面持ちで佇んでいました。

廃校になった真妻小学校跡のメタセコイアの木に新たなLEDイルミネーションを施すという今回のプロジェクトにとって、この訪問は重要な意味を持っています。

タカショーデジテックと言えば国内外のさまざまなイルミネーションも手がけるLEDサインやライティングの企画販売を行う企業。2017年から和歌山マリーナシティで開いている大規模なイルミネーションイベント「フェスタ・ルーチェ」を運営、実行委員会長として中心になって手がけているのが、同社の古澤良祐社長。イルミネーションの知識のないメンバーにとって、どんなツリーができるのか、成功の鍵を担うキーパーソンといって過言ではありません。

 

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通された会議室で、さっそく古澤社長と対面したメンバー。まずは当財団の有井代表理事がこれまでのいきさつを話した後、山本塾長からプロジェクトの趣旨とツリーへの思いが語られました。やまびこ塾の思う地域活性はもちろんのこと、このプロジェクトは地域振興だけでなく、廃校の活用や災害対策といった意味合いも大いに含んでいます。役場から参加した石野さんからも「今後、災害が起きた場合に被害が大きいのはおそらく人口の多い川下の地域。その時の防災の地域づくりに真妻地区が復興拠点となり、早期のまち再生ができるという考えもあります。山間部から元気にしたいと行政的には考えています」と説明を加えます。

 

 

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そして、バトンタッチしたのが若手メンバーから参加した大野くん、山本くん、新谷くんの3人。「年に数回しか返ってこない同世代が年に何度でも帰ってきたくなるような場所にしたい」「イルミネーションの中にいるような体感型のものになれば」「「校舎はもちろん、保育園や体育館の建物も生かして、昔の写真を張り出したりして真妻の過去・現在・未来に光をともしたい」とそれぞれの熱い思いをぶつけ、協力を依頼。真剣な眼差しで話を聞いていた古澤社長はその熱意に共感の意を示し、「しっかり応援させていただきます」と、フェスタ・ルーチェのサテライト会場として協力を申し出てくれました。

 

具体的なイルミネーションの形や木の成長、メンテナンスの問題、そもそも常設するかどうかなど、具体的な話は現地を視察した上で提案してくれることとなりましたが、「体験参加型にしたい」という思いを受け、古澤社長から提案があったのが、子どもたちや地域の人たちの願い事を吊るしたオーナメントをつけること。自分の書いたものが一緒にツリーに飾られ、ライトを受けてキラキラと輝く。このツリーが地域に住む人たちにとって「自分ゴト」となるための提案でした。

 

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「重要なのは継続すること」と古澤社長。一度灯してイベント的に終了するのではなく、通年もしくは長期休みの間だけでも点灯することで地域のシンボリックな木として活用することで本当の意味を成していくのだと。やまびこ塾の面々も真剣にその言葉を受け止めていました。

 

「印南まちづくり基金」は地域住民が主体的に地域課題の解決を図る支援をすることを目的としています。今回のようなツリーで光を灯すという事業はストレートに地域課題解決に繋がるものではないかもしれませんが、このツリー再生のプロセスにおいて住民が自分達が暮らす地域の課題に目を向けたり、その解決策へ向けたアクションを起こすきっかけとなることを期待します。このツリーの光を元にして真妻に光を照らし、住む人や地域外に出て時折帰ってくる人の心も癒しになれば、高齢化や人口減少が進む中でも、地元への誇りを実感しながら暮らしていけるのではないかと考えています。